春が来たら、桜の花びら降らせてね

「よし、ぜってー楽しませてやんよ」

出た、夏樹君のピーターパン発言。
今度はどんな世界に連れて行ってくれるのだろうと、今夜はワクワクしてきっと眠れないんだろうなと思った。

「ふふっ、楽しみだな」

私たちは顔を見合わせて笑った。
初夏の、緑の眩しさと濃い草の香りに包まれて、思う。

この関係が、罪で繋がっていたのだとしても、構わない。

だって、あの暗闇の世界にいた時みたいに、一人ではないから。

夏樹君のそばにいられるのなら、どんな形でもいいと思った夏の日。

私は胸の中で、夏の暑さにも負けない熱が育っていくのを、密かに感じていた。

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