春が来たら、桜の花びら降らせてね
燃ゆる、藍色の恋
【冬菜side】
体育祭から一週間が経った、日曜日。
ついに、夏休みに入った。
私は手作りお弁当を手に、愛犬のベリーを連れて、家から5分ほどの距離にある、公園へとやって来ている。
お散歩コース以外は芝生で出来ており、中央にはアヒルさんボートにも乗れる大きな沼がある。
もう少し歩くと、噴水広場があり、いつもなら出ない噴水の水も、夏の季節限定で吹き上げるようにして、周りを囲みはしゃぐ子供たちに降り注いでいた。
「ベリー、良かったね」
夏休みだからか、冬にはぽつりぽつりとしか人がいない公園も、テーマパークに変わってしまったかのような賑わいを見せている。
私はつい人目を気にしてしまい、小声でベリーに話しかけた。
どうして、こんな所にいるのかというと……。
私は、体育祭の日の夏樹君との会話を思い出す。
『勝った褒美に、冬菜の日曜日がほしいって言ったら怒る?』
体育祭でした、夏樹君との約束があったからだ。
今日は、その約束の日曜日。
この公園で、夏樹君と犬の散歩をする約束をしていた。
私は待ち合わせの場所の定番である、公園の時計台の下で夏樹君を待つ。