春が来たら、桜の花びら降らせてね

「この子たちは、たぶん人間よりずっと相手を知ろうとしてる。それがわかるから、ちゃんと向き合おうって思えるんだ」

「向き合う?」

「うん。今何を考えてるんだろう、どうしたら喜んでくれるだろうって、たくさん考えてくれてるから、私も自然とわかりたいって思う」

ちょこちょこと短い足でついてくるベリーを見て、愛しい気持ちが溢れる。

人も、同じなのではないかと思う。
相手を知りたい、知ってほしい。

そんなお互いの想いがあって、初めて通じ合える。

「……やっぱり冬菜は優しくて、純粋で、綺麗な心を持ってたんだな」

「そ、そんなにできた人間じゃないよ」

褒められるのって、くすぐったい。
でも、夏樹君の目に私がそう映ってるのだとしたら、素直に嬉しいと思った。

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