春が来たら、桜の花びら降らせてね
「俺がそう思ってるんだから、そーなんだって」
「ふふっ、ありがとう」
自信満々に言う夏樹君に笑えば、夏樹君はさらに楽しそうに笑い返してくれる。
この時間が、ずっと続いたらいい。
そんなことを、心の底から思う。
私は君に出会ってから、願い事ばかりが増えてしまったみたいだ。
時計台の時刻が12時を回ると、私たちは木陰を探して、休憩がてら芝生に腰掛けた。
「俺、そこら辺で飯買ってくっから、冬菜はここで待ってろよ」
「あ!」
お弁当作ってきたこと、言わないと!
そう思った私は、立ち上がろうとする夏樹君の手を、咄嗟に掴んで座らせる。
「冬菜?」
「お弁当、サンドイッチ、作ってきたの……」
「え、マジで!?」
「はい、マジです……」
ただのお出かけなのに、お弁当作ってくるなんて、重いかなと、今更ながら不安になってくる。
私は裁判官の判決を待つ囚人のように、異様な緊張感を抱きながら夏樹君の反応を待っていると。