春が来たら、桜の花びら降らせてね
「だ、大丈夫?」
「大丈夫じゃねーし!」
のぞき込んだ私から逃げるように、夏樹君は背を向けてしまった。
「と、とりあえずお茶飲む?」
「ん、そーする」
夏樹君はこちらに背を向けたまま、私の渡したお茶を一気飲みした。
「ふー、死ぬかと思ったわ」
死ぬかと思った……?
どういう意味かわからない私は、不思議に思いながらも、ようやくこちらを向いてくれた夏樹君にホッとする。
「サンドイッチ食べる?」
とにかく、謎の疲労感を感じている夏樹君を労わろうと、サンドイッチを差し出してみる。
夏樹君は顔をパァッと輝かせて、サンドイッチを見つめていた。
「おぉ、すげぇー美味そう!中身なに?」
「ベーコンエッグサンドだよ」
「名前まで美味そう!」
「そう言ってもらえると嬉しい、召し上がれ」
私たちはベリーとルディーにも、持ってきていたおやつをあげて、全員で昼食をとった。
夏樹君は本当に美味しそうに、サンドイッチを平らげてくれた。
もし叶うなら、また作ってあげる機会があればいいなと思ったほどに。
昼食を食べ終わると、目の前に広がる沼を眺めながら、しばらく2人で休憩することにした。