春が来たら、桜の花びら降らせてね

「だ、大丈夫?」

「大丈夫じゃねーし!」

のぞき込んだ私から逃げるように、夏樹君は背を向けてしまった。

「と、とりあえずお茶飲む?」

「ん、そーする」

夏樹君はこちらに背を向けたまま、私の渡したお茶を一気飲みした。

「ふー、死ぬかと思ったわ」

死ぬかと思った……?
どういう意味かわからない私は、不思議に思いながらも、ようやくこちらを向いてくれた夏樹君にホッとする。

「サンドイッチ食べる?」

とにかく、謎の疲労感を感じている夏樹君を労わろうと、サンドイッチを差し出してみる。

夏樹君は顔をパァッと輝かせて、サンドイッチを見つめていた。

「おぉ、すげぇー美味そう!中身なに?」

「ベーコンエッグサンドだよ」

「名前まで美味そう!」

「そう言ってもらえると嬉しい、召し上がれ」

私たちはベリーとルディーにも、持ってきていたおやつをあげて、全員で昼食をとった。

夏樹君は本当に美味しそうに、サンドイッチを平らげてくれた。

もし叶うなら、また作ってあげる機会があればいいなと思ったほどに。

昼食を食べ終わると、目の前に広がる沼を眺めながら、しばらく2人で休憩することにした。

< 128 / 277 >

この作品をシェア

pagetop