春が来たら、桜の花びら降らせてね
「表情見てれば、なんとなく言いたいことわかるし」
表情が、自分にもあったことに驚いた。
私は今、君の前でどんな顔をしているのだろう。
って……こんな人無視して席につけばいいのに。
なのに私、なぜか夏樹君を無視できないでいる。気づけばバカみたいに会話に付き合ってる。
夏樹君の明るさがそうさせるのか、絆されそうになってる……?
だとしたら、この人は危険だ。
私が自分を守るために閉じた世界を、こじ開けようとするから。
「これから、冬菜にたくさんプレゼントを贈るから」
「っ……ぇ?」
今、なんて言ったんだろう。
不穏な言葉が聞こえた気がした。
贈り物って、どうして私にそんなことをするの?
「覚悟しとけよ?」
「……なっ」
ふざけないでよっ。
毎回こんなことされたら、たまったもんじゃない。
話すことも、話しかけられることにも疲れた私は、もう誰にも近づかない、孤独に生きると決めた。
冗談じゃないと、私は夏樹君を睨みつける。