春が来たら、桜の花びら降らせてね

「冬菜、優しさは平等に、誰にでも与えられる権利があると、俺は思う」

「平等に……?」

夏樹君に出会う前の私なら、平等なんて綺麗ごとだってひねくれてたと思う。

だけど、夏樹君が教えてくれたんだ。
優しさを受けること、友達という繋がりを得ること、自分のために欲しいモノを望んでもいいこと。

全部、君が私にくれたモノ。
だから夏樹君の言葉の意味が、今なら受け入れられる。

「ただ、優しさをくれる人間に、出会えてなかっただけだ。世界は広いし、人間もたくさんいる。そん中に、冬菜を好きになってくれるヤツもいるってこと、忘れんな」

「夏樹君も……?」

無意識に尋ねていた。
夏樹君も、どんな形でもいい、友人でも仲間でもいい、私を好きでいてくれてるのだろうか。

今までなら、不確かなモノを望んだりなんてしなかった。

でも、君のことだけはどうしても、強欲に望んでしまう。

叶う叶わないに関わらず、君を自然と求めているのだ。

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