春が来たら、桜の花びら降らせてね
「おう、俺も冬菜が大切で、その……好きだ、ずっと」
「え……?」
好き、その言葉に心臓が大きく跳ねる。
その好きは、どういう意味を持っているのだろう。
そんな私の戸惑いに気づいた夏樹君は、慌てて顔の前で手を振った。
「あ、いやっ……その、変な意味とかじゃなくて!」
「そ、そっか……!」
それはそれで残念だなって、思ってしまう私は、やっぱりわがままだ。
でも、夏樹君と出会って知った。
蔑まれたり、否定されたり、誰かの悪になることでしか価値を認められないことが、どれだけ寂しいのか。
望まれないことには、慣れてるつもりだったのに、君と出会って誰かの特別になりたい、愛されたいと思うようになった。
「嬉しい、ありがとう夏樹君」
「お、いい笑顔じゃん」
心から笑えた。
そんな私を見て、夏樹君は眩しそうに目を細める。
その眼差しがあったかい。
優しくて、太陽のようで、たまにいじわるで。
これが、佐伯 夏樹君という一人の人間なんだと改めて思う。
誰かを知りたい、向き合いたいと思う気持ち。
ありのままの君を知るたびに、私の胸に炎が灯るような、熱い想い。
それは最初は小さくて、どんどん大きくなっていく。