春が来たら、桜の花びら降らせてね

「だって、好きな人が隣にいてくれるんだもん、幸せに決まってるよ」

好きな人って……夏樹君が私を好きってこと?

それは違うよ、夏樹君が好きな人は、忘れられないあの子だ。

どういった経緯で、夏樹君が私を好きだと勘違いしたかはわからないけれど。

なにかと夏樹君が私を構ってくれてるのは、私が夏樹君の好きな女の子と同じ病気で、傷つけてしまった過去に罪悪感を抱いているからだ。

私自身を好きだから、優しくしてくれてるわけじゃない。

そんな琴子ちゃんの隣で、誠君は「もしかして……」と、言いにくそうに零す。

私の顔色を窺うように見つめると、意を決したように口を開いた。

「話せないから……?」

「……あっ……」

改めて言われるのって、胸が痛いな。
やっぱり私は、みんなとは違うんだなって思い知らされるから。

話せないこと、それも理由の一つだけれど、今一番にこの恋の障害として立ちはだかっているのは、夏樹君の罪悪感だ。

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