春が来たら、桜の花びら降らせてね

「食えって、プレゼントしてやんよ」

「あ……」

もしかして、私が悩んでるって気づいて……?

キャンディーも受け取らずに固まっていると、夏樹君はガサガサと包装を開けて、私の唇に親指を乗せると、無理やり開かせた。

そして、開いた口の中にコロンとキャンディを放り込む。

「ん……っ」

「元気になる魔法のキャンディーだ」

得意げに笑う夏樹君に、暗い気持ちが不思議と明るくなっていく。

しかも、口内に広がる味はやっぱりイチゴ味だった。

チョコレートの時も思ったけど、今回のことではっきりした。

夏樹君、イチゴが好きなんだ。

そう思ったら、カッコいい夏樹君と可愛らしいイチゴとのギャップに、私はクスッと笑ってしまう。

「お、笑った、笑った」

口の中で転がるキャンディ―の甘さと、夏樹君の笑顔につられて、私はもっと笑う。

それに背中を押されて、みんなに全てを話そうという気持ちが、ストンッと胸の中に落ちてきた。

私はスマホのメモアプリを使って文字を打ち、画面を見せる。

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