春が来たら、桜の花びら降らせてね

「『きっと』とか、『だと思うから』とかさ、結局想像でしかないんだよ」

まるで、心の中を見透かされているようで、ドキリとした。

「本当に辛かったら、俺の所に逃げてきていい」

「……あ……」

「だから、したいと思うことを迷うな。傷ついても、後悔しないように生きるんだ。俺が、冬菜ちゃんに告白したみたいにな」

「っ……し……て」

どうして、そんなに優しく出来るの、強くいられるの。私は琉生君の想いには、応えられなかったのに。

フラれて傷ついても、琉生君は後悔していないってことなのだろうか。

「冬菜ちゃんが俺に向ける感情が俺と同じモノでなくても、俺は君の味方だし、助けたいって思う」

「…………」

「それが、君を好きになった俺が、心からしたいことだ」

この人は……優しくて、強い人だ。
見返りを求めない、純粋な思いやりを私に注いでくれている。

人を好きになると、そこまで誰かを大切に想えるものなのかな。

私は……夏樹君を好きになったのに、注いであげられるモノが何一つ無い。その資格もない。

だって私は……普通じゃないから。
だけど、琉生君が言ってるのは、そういう事じゃないんだ、きっと。

私が今、想像だけで悩んでしまうのは、自分が傷つきたくないから。

夏樹君に拒絶される前に、私は逃げるための拒絶をしてしまった。

そんな生き方は、後悔するよって、琉生君は教えてくれている。


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