春が来たら、桜の花びら降らせてね
「あっ……」
一行目に『冬菜へ』の文字があった。
二行目に、私への謝罪の言葉があり、私は確信する。
この手紙は。君からなんじゃないかと、心のどこかでは思っていたけれど……。
どうして、私宛てに手紙なんて書いたのだろう。
見て見ぬふりだってできたはずだった。
なのに、君が綴る想いだと思ったら、無視なんてできなかった。
読んだら、君を思い出して虚しくなるだけなのに、あきらめの悪い。
今でもまだ、君のそばにいられたらと思ってるのだ。
その恋心を捨てきれない私は、やっぱり君を求めてしまう。
「っ……すう、はぁ……」
ドキドキする胸を、深呼吸して落ち着かせる。
そしてゆっくりと、夏樹君の文字へと目を走らせた。