春が来たら、桜の花びら降らせてね
それに……やっぱり私は、夏樹君には相応しくないよ。人前で話せない、夏樹君にきっと迷惑をかける。
君は私を見つめるたびに、過去を思い出して傷つく。
君の重荷にしかならないのに、そばにいたいなんてわがまま言えない。
だけど、琉生君は後悔しないようにぶつかれと言う。
そのための勇気が、今の私にはまだなくて……。
「っう……」
紅葉を見つめて、声無き声と共に静かに涙をこぼす。
君に初恋をして、諦めて、また君に恋をする。
してはいけない恋だと思うほど、この想いを止められなくなるのはなぜなのだろう。
――痛いのに、苦しいのに、君が好き。
もうじき、この紅葉のように空が淡い橙色から濃い茜色へと変わっていく。
まるで深くなっていく私の恋心を映すような空から、目線をそらすことができなかった私は、ただ立ち尽くしていた。