春が来たら、桜の花びら降らせてね
「夏樹、俺らはいつまで部外者なの」
「え……?」
誠の言葉に、俺は体を起こす。
「そうだよ!琴子たちは、夏樹とふゆにゃんの親友じゃん」
「琴子……」
確かに、俺はいつまで秘密にするつもりなんだろう。吐き出した方が楽なのはわかってる。
それでも、怖い。
俺の最低で最悪な過去を、大切な友人に知られることが、それで失うことが。
それで気づく、俺がまだ守ろうとしているモノ、それは本当の友人との絆だと。
こいつらを失いたくなくて、俺はまた冬菜から逃げている。
俺は自分が情けなくて、ふたりから視線をそらすように俯いた。
そんな時、『夏樹!』と誰かに呼ばれた。
顔を上げれば、教室の入口に琉生が立っている。
俺に向かって軽く手招きをすると、なぜか誠と琴子まで呼ばれて、俺たちは屋上へと連れてこられた。
秋の澄み切った空に、飛行機雲が流れている。
外に出ると、少しだけ開放されたような気になって、俺は静かに深呼吸をした。
そして、今一番気になっていた不安を吐き出すように琉生に尋ねる。
「琉生、お前冬菜といたんじゃなかったのかよ?」
琉生と昼飯を食ってると思ったのに……。
冬菜が今ひとりなのかと思うと、ものすごく不安になる。