春が来たら、桜の花びら降らせてね

「仕方ないな……そこのふたり、脱線するなよ。話が進まないだろう?」

琉生は面倒そうだったが、俺を助けてくれた。

「「いいじゃん、リュウ坊のケチ」」

「ケチ……!?」

「「リュウ坊のミジンコ~」」

「ミジンコ……意味不明だ……。とにかく、バカップルは少し黙っててくれないか」

琉生が、頭を抱えた。
このふたりの言ってることのほとんどは、意味のないものばかりだ。

ただ、琉生は真面目だからいちいち反応する。
ふたりにしたら、最高のからかい対象だろうな。

「琉生、こいつらの行動について考えるだけ無駄だぞ。何も考えてねーからな」

「未確認生命体と遭遇したみたいだ……」

「素なんだよ、これが」

俺も、最初会った時は結構な衝撃だったな。

突拍子もない発言したり、彼女の方は変なあだ名付ける癖があるし、彼氏の方は一見普通に見えるが、琴子とセットになった途端に馬鹿になる。

「ちょっと、早くふゆにゃんとおバカ夏樹の仲直り作戦立てよーよ」

「おい琴子、それあだ名じゃなくて、ただの悪口だからな!」

おバカってなんだよ、おバカって。

今までで一番、雑なあだ名じゃないかと、心の中で文句をたれる。

言ったら、また話題がそれるから、ぐっと堪えた自分を褒めてやりたい。

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