春が来たら、桜の花びら降らせてね

「信じてついてきて、ふゆにゃん」

「一人で無理な時は、俺たちが手を引くから」

琴子ちゃんと誠君が、私の手を握って軽く引く。
それに、不思議と不安が和らいだ。

「ふゆにゃん、琴子たちはふゆにゃんに幸せでいてほしいよ」

琴子ちゃん……。

「夏樹とふゆにゃんが前みたいに……ううん、違うな。この先、過去に捕らわれずに、一緒に笑っていてほしい」

ふたりの優しさに、つい頷いてしまいそうになる。

でも私、もうさよならするって決めたんだ。
夏樹君のこと、私の人生に巻き込みたくないから。

そう自分に言い聞かせながら、ふたりが言った夏樹君との幸せな未来を想像してしまった。

君のそばにいられたら、どんなに毎日が輝いていただろうって。

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