春が来たら、桜の花びら降らせてね
「うっ……ふ、うっ」
泣きそうになって、俯けば涙で足元が歪んで見える。
そんな私に気づいた2人は、「「ふゆにゃん!」」と同時に私の名前を呼んだ。
顔を上げればいつの間にか、『6ー2』と書かれた教室の前にやってきていた。
ここは……私の苦しみと悲しみの記憶、そのままの形で変わらずにそこに残っていた。
「っ……うっ」
気持ち悪い、吐き気がする。
私はとっさに2人から手を離して、口元を両手で覆う。
ここは……嫌いだ。
私をみっともなく、惨めな気持ちにさせるから。
「この一度だけでいい、信じてアイツに会いに行ってあげて」
誠君のお願いは聞いてあげたいけど、とてもじゃないが無理だ。
心が、体が、全力でこの場所にいることを拒否している。この場に2人がいなかったら、きっと今頃倒れてただろう。