春が来たら、桜の花びら降らせてね
「あのね、来年の春、またプレゼントが欲しいな」
君に、初めてのおねだりをしてみる。
君と出会えたあの季節が、毎年の記念日であるように。
「おう、何が欲しいんだよ?」
「うん、春になったら……」
誰もいない小学校の教室。
日は西へと沈みゆき、宵闇がすぐそこまで迫る中、私は思う。
君が太陽のように輝いて、私のそばにいる限り。
きっと君となら、明けない夜でさえ未来は明るく見えるだろう。
私は、この約束を果たす時の、君との未来を想像しながら微笑む。
「春が来たら、桜の花びら降らせてね」
また、花咲か夏樹になってね。
それで今度は、ふたりで「おめでとう」をしよう。
重ねた月日を、神様に感謝するように、お祝いしよう。