春が来たら、桜の花びら降らせてね

「あー……とりあえず、席座ってみろ!」

「っ……ん?」

……席座ってみろって何?

私は異様な空気の中、言われた通りに席へと歩いていく。みんなの緊張感ある視線の中、恐る恐る席に座った。

「「こんな琉生は見たくないー」」

「全力でオタ芸する、俺」

声をそろえて叫ぶ琴子ちゃんと誠君が声をそろえて言うと、琉生君が真剣な表情で続く。

そして、いつの間にかまじっていた夏樹君含む全員が、足を蟹股に開き、天を指さしてオーソドックスのオダ芸ポーズをしだした。

「…………」

――え、えっ、ええっ!?

放送事故を見てしまったかのような衝撃に、これは何事かと頭が混乱する。

固まっている私に夏樹君は慌てはじめ、「おい、次やれ、次」となにかを急かす。

「「こんな夏樹は見たくない」」

それは一体どんな夏樹君だろうと、先を聞くのがかなりの恐怖だった。

苦い顔をしている夏樹君と琉生君とは反対に、ノリノリの琴子ちゃんと誠君が声を揃えて言った。

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