春が来たら、桜の花びら降らせてね
「俺、フィボナッチ数が恋人なんだ」
フィボ……ナッチ数……?
なんだろう、マニアックすぎてわからない。
「なんか、ふゆにゃん笑うより固まってない?」
「うんうん、顔強張ってる?」
琴子ちゃんと誠君が顔を見合わせてコソコソと話している。
「つか、俺がフィボナッチ数って、マニアックすぎんだよ!こんの数学オタクが!」
「何言ってるんだ、フィボナッチ数は俺たちの生活の中に溢れてるんだぞ。そもそも、俺がオタ芸って方が無理がある!」
「いいだろ、オタク仲間で」
「くだらないアイドルオタクと一緒にするな!」
夏樹君と琉生君は、顔を付き合わせて睨み合っていた。
今の数分に、恐ろしい物を見た気がする……。
寒気がして、私は腕をさすった。