春が来たら、桜の花びら降らせてね
「こうなったら、最後の手段じゃー!」
「っえ……!」
突如、琴子ちゃんが奇声を上げて、私の脇の下に手を差し込むと、コショコショとくすぐった。
「……あ、あははっ!」
すると、ほとんど無意識に声を出していた。
すぐにハッとして周りを見渡すと、私に視線が集まっている。
バクバクと心臓が嫌な音を立てて加速する。
どうしよう、いつも喋らないヤツが喋ってるって、変に思われる!
みんながそばにいたからか、気が抜けていた。
いつもあった緊張感がなく、自然体のまま笑ってしまったのだ。
恥ずかしくて、怖くて、顔は赤くなったり青くなったりしていることだろう。
「「おめでとう、ふゆにゃん!」」
「わっ……!」
そんな私に、琴子ちゃんと誠君が抱き着いた。
おめでとうって、どういうこと?
驚いていると、やっぱりみんなは嬉しそうな顔をしていて、傾げた首がさらに横に傾きそうになる。
「冬菜ちゃんの声って、綺麗なんだな」
「琴子のやけくそ作戦がうまくいったみたいだな!」
琉生君と夏樹君まで、ホッとしたように笑っている。
良かった、変には思われてないみたい……?
私は恐る恐る声を出してみる。