春が来たら、桜の花びら降らせてね

「お笑いのネタも必死に考えたんだけど、琴子の最終手段を使うことになるとは思ってなかったなぁーっ」

「オタ芸とか、絶対インパクトあっていいと思ったんだけどね」

琴子ちゃんと誠君が、少しがっかりしたように肩を落とす。

インパクトはあったよ、かなり。
でもそっか、みんな私のために……。

嬉しい、素直にその気持ちが私に中に溢れる。

「ありがとう……ありがとうっ」

嬉しくて目に涙が滲む。
そんな私の頭に、ポンッと夏樹君の手が乗った。

「みんな、冬菜が大好きなんだ」

「ううっ……嬉しい」

もう、堪えきれなかった。
人目も気にせず、涙が頬を伝っていく。

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