春が来たら、桜の花びら降らせてね
「もっと早く、お前に言ってやりたかったよ」
「…………」
夏樹君の切なげな声に、私は心の中で首を横に振る。
今の言葉だけで、十分だよ。
君が私にくれた言葉は、ずっと誰かにかけてほしかった言葉だったから。
目を開けて、私は夏樹君を見つめた。
その瞳に映るのは、決意した私の凛々しい顔だった。
「冬菜……そうか、頑張れ」
私、頑張るよ、夏樹君。
まるで、私の心を読んだかのようにエールをくれる。
私はくるりと振り返ると、貝塚君と相沢さんを振り返り、スマホの画面を見せた。
『ごめん、話せないの。貝塚君と相沢さん、気を遣わせてしまってごめんなさい』
それを見た貝塚君と相沢さんは、驚いたように顔を見合わせている。
「なんかワケありってことね」
「ふむ、琴子、難しいことはわからないけど、一つだけわかったことがあるよ!」
わかったこと……?
なんだろうと、相沢さんの答えを待つ。