春が来たら、桜の花びら降らせてね

「琴子、相沢さんってキャラじゃない!」

……え?
一瞬、自覚するくらいに、間抜けな顔をしてしまったと思う。

「可愛く琴子ちゃんって呼んでほしいなぁ~」

なにを言い出すかと思えば、わかったことってそれ?

いや待てよ、場を和ませようとしてくれた気遣いだったりして……。

人付き合いをことごとく避けてきたために、相沢さんの真意がどこにあるのかがわからない。

「琴子、さん付けだと虫唾が走るんだもん」

え、虫唾……?
かなり、極端な感想だなと、私は苦笑いする。

「琴ちゃん、そこは鳥肌くらいにしとこうよ」

と、鳥肌……?
あんまり意味変わらないし、この調子だと気遣ってくれたわけではなさそう。

思ったまま、心の声を言葉にしている気がする。

夏樹君の言った通り、裏のない人たちなんだなと思った。

「お前の彼女、頭のネジどっかに落としてきたみたいだぞ」

夏樹君は、なんとかしろと言わんばかりに、誠くんを肘でつついた。

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