春が来たら、桜の花びら降らせてね
「おはよ、朝から仲良く一緒に登校?」
と、誠君が私たちに聞いてくる。
「下駄箱で会っ……」
「ラブラブなんやねぇ~」
夏樹君が何かを言い終える前に、琴子ちゃんは容赦なく言葉を被せた。
「琴ちゃん、大阪弁可愛い」
「もー、照れるからやめてよ、誠君っ」
見事に夏樹君を無視して、誠君と琴子ちゃんはふたりの世界へと旅立ってしまう。
朝から、元気だな……このふたり。
倦怠期になったり、しないのかな。
純粋に、恋人同士という関係に興味が沸いた。
「俺たちに話しかけたいのか、イチャつきたいのかどっちかにしろよ!」
「どっちもだよ。で、ふたりはいつの間にそんなに仲良しさんになったのかな?」
琴子ちゃんの好奇心に溢れた瞳に、夏樹君はフッと意味深に笑う。