春が来たら、桜の花びら降らせてね
「そりゃ、ずっと前から俺等相思相愛だ」
相思相愛……!?
何言ってんのこの人、と追及の意味も込めて夏樹君の横顔を勢いよく見上げる。
私の視線に気づいた夏樹君は、意地悪な笑みを口元に浮かべた。
──確信犯だ……!
そう思った私は、事実を修正するため、慌ててスクールバックからスマホを取り出し、『たまたま、下駄箱で会ったの!!』と文字を打って見せた。
「恥ずかしがることないのに~」
琴子ちゃん、違うんだよ!
そうじゃないって言っているのに、琴子ちゃんはニヤニヤしている。
──共謀犯だ……!
体が、どっしりとした疲労感に襲われる。
「うぅ……」
「ぶはっ、焦ってやんの」
すると、夏樹君が私の顔を見て噴き出した。
えっ、焦ってる……?
今、そんな顔をしているのかと、自分の表情の変化に驚く。
「最近、表情コロコロ変わるようになったの、気づいてないか?」
「確かに、前より小さくだけど笑うようになったしね」
夏樹君の言葉に、誠君もうんうんと頷いていた。
誰かの前だと、いつも過度に緊張して、表情も作れなかったのに……。
いつの間に、笑えるようになっていたんだろう。