春が来たら、桜の花びら降らせてね
「俺も……ずっと冬菜の声が聞きたかった。優しくて、まっすぐな声だな……っ」
嬉しそうな、泣き笑い。
それを見た私の目にも、喜びに涙が溢れた。
ふたりで泣きながら、笑いながら、喜びを分かち合う。
世界が今までで一番美しく、優しく、希望に溢れているように見えた。
「良かった……笑って、くれたっ」
自然と顔が緩んで、声が出る。
詰まることなく、ちゃんと真っすぐに伝えたい気持ちが言葉に出る。
それが、こんなにもスッキリとした気持ちになるのだと、初めて知った。
「よかった……ふふっ」
「っ……笑った、俺が、ずっと見たかった……。まさか、俺のために取り戻してくれるなんて……っ」
夏樹君は、まるで宝物をその手に閉じ込めるかのように、私の頬を両手で包み込む。
温かい、君の存在は雨の冷たさにも負けないほどに強い、そんな存在に私はいつも、守られていたんだ。
「この笑顔を、守る……」
まるで、自分に誓うような言葉だった。
「ありがとな、冬菜」
それは、私のセリフなのに、先に取られちゃったなと困ったように笑う。