春が来たら、桜の花びら降らせてね
「リュウ坊、なんでここにいんだよ」
「誰がリュウ坊だ。用があるのは冬菜ちゃんにだから、安心しなよ」
えっ、私に用事?
琉生君が、何の用だろう。
琉生君に訪ねられる理由に身に覚えがない私は、ひたすら不思議な気持ちになる。
「は?なんで冬菜に用事があんだよ?」
「俺が会いたいから来た」
「不純だ、即刻隣のクラス帰れ」
「断る」
バチバチと、ふたりの間で火花が見える気がする。
実は、琉生君がこうして私に会いに来るのは初めてじゃない。
なんだか知らないけれど、こうやってうちのクラスにやってくることが多くなった。
その度に夏樹君とは喧嘩ばっかりなのだ。
まさか、バイトでもこんな感じなの?と心配になる。
「この際だから言っとく、俺、冬菜ちゃんのこと本気だから」
「……そんなん、お前見てればわかるっつーの」
本気って、なんの話……?
でも、夏樹君は苦い顔をして頷いており、理解してるみたいだった。