素直になるのはキミにだけ
『ねえ、センパイ…』

「……なに」



あたしはカラカラとドアを開け、ゆっくりとベランダに出た。


……星が、きれいだ。



『俺の事好きって、本当?』

「……だから手紙に」

『信じられないから、センパイの声で聞きたい』

「……………き……」



あたしはボソッと呟く。

軽く言ったつもりだったけど、口に出した途端、顔が燃えるように熱くなった。



『…聞こえない』

「…っはぁ!?聞こえたでしょ!?」

『へぇ~、沙弥センパイの “ 好き ” って口に出して言えないレベルの好きなんだぁ。へぇ~』


……むかつくっ!!!



「好きって言ってるでしょうがバカ!!!!」


静かな空間にあたしの大きな声は響き渡り、自分の声が跳ね返って聞こえてきた。



………田舎が憎い。

< 259 / 313 >

この作品をシェア

pagetop