素直になるのはキミにだけ
『……インターハイ、応援来てよ。センパイがいれば俺3倍頑張れる』

「行く予定ではあるけど……あたしがいなくても頑張りなさいよ」

『……。』



コイツ……都合のいい時だけシカトして……!!



『あとさ、夏はこっち戻ってきて』

「……それも、部活とかいろいろスケジュールがはっきりしてからお兄ちゃんたちと相談して決める。」

『部活って…引退じゃん』

「あのねえ…3年が何のために引退するか忘れたの?」

『わかってるけど、センパイは推薦でT大入るんでしょ』



……。



「…進路のことは確定してから言うから」



緑ヶ丘にバスケで入って受験を経験したことのない秋本には何を言っても、無駄な気がする。

…T大のスカウトがもう秋本のことマークしてるらしいし。


受験生のあたしは、本来ならば恋愛なんかしてる余裕はない。

……あたしだって、負けないから。


あたしは綺麗な夜空を見上げ、こぶしを握りしめた。


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