素直になるのはキミにだけ
* * *
「うふぉ~!ひっっっろ!!!さすが私立!!!」

「走り回れるじゃねえか!!」


あたしと東堂くんは大きくため息をついた。



「…絶対走らないでね?」

「…絶対走るなよ?」



同じことを言ってしまった。


…まあ、みんな思ってるってことだ。



「おいお前ら~、迷子になんなよ~」



今日、この会場にはたくさん人がいる。

他校の選手や、もしかしたらT大のスカウトもいるかもしれない。

悪目立ちしてるのを見られたら…



日常のほんの些細な行動で、3年生は進路が大きく変わってしまう可能性があるんだから。



「ここから学年は関係なくていいけど、まとまって座ってください。くれぐれも騒いだり遊んだりすることがないように」



あたしは部員たちにくぎを刺し、学校に割り当てられた席の一番前、通路側の席に座った。

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