素直になるのはキミにだけ
今だけは、慎二センパイの大声が憎い。とても。



「……あっちは?」

「……あれもOB」



東堂くんまで不思議な目であたしを見てくる。

……ほんとに、やめてほしい。



「まじで?イケメン多くね!?」

「…言っても、性格はその辺のやつらと大して変わらないよ」

「うわぁ、春風厳しい……」



厳しいとはどういう意味だろう。


……まあ、どうでもいいや。



「あたしちょっと飲み物買ってくる」

「おぉ、迷うなよ」

「大丈夫」



グサグサと敵視を向けられるこの場にいるのは、ちょっとつらい。



あたしは財布とスマホだけ持って席を立った。

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