素直になるのはキミにだけ
「よし、帰るぞお前ら―!遅い奴はおいてくぞー!」

「帰んねえと!!!!今日Mスタスペシャル!!Midnight Wolf も Swallowtail Butterfly も出るんだよ!!」


「…何それ」

「ミドナイはバンド!スワバタはアイドル!!!」

「あぁ、そう…」



あたしは西川くんの言うことをさらっと聞いて、荷物をまとめた。


………。



どうしよう、やっぱり……アイツらの事が気になる。



「先生、あたしちょっと行ってきてもいいですか」

「どうした?便所ならあっちに」

「違います」



あたしは部の集団を抜け、走りながら電話を掛けた。



プルルル……

『もしもし沙弥!?ちょうどいま電話しようとしてたの!!助けてー!!』

「…落ち着いて、いまどうなってるの?」

『緑ヶ丘の方、もう電車とまり始めてて…』

「今いくからちょっと待ってて」



あたしは電話を切った。


やっぱり、緑ヶ丘の方がピンチなんだ。

青葉台より近いとは言っても、緑ヶ丘も山の近く。路線によっては雨で止まるところも多い。

こっちより混乱がひどいはずだ。

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