溺愛警報
チッ、と舌打ちをして明らかにさっきより機嫌が悪くなった。
俺だって舌打ちしたいけど、俺はそんな駄々をこねる子どもじゃない。
俺だって、汐がいなくても彼女の1人や2人つくれる。
「あ″ーっ、むしゃくしゃする。何でよりにもよって隼人君に …、」
髪をかきあげながらだいぶイラついてる。
俺は渚よりは大人だからクールに…、
「てかさ、楓も何なの?
隼人君に汐とられても平気なわけ?」
「…あ?」
平気なわけがない。
よりにもよって、
隼人ということがムカつく。
小さい頃から俺の後ろをちょこちょこと着いてきていたはずの汐がもういない。
俺じゃなく、隼人のところに行った。
こんなにショックなことはない。
「…俺だって結構へこんでるから。」
「オレは汐のこと諦めないから。楓にも汐はやらねぇ、絶対隼人君から取り返す。」
俺はこのままでいいのか。
それより、急に彼氏を作ると言った理由が分からない。
今まではそんなこと気にしてもいなかった汐なのに何でだ…?
「…くそっ」
汐のくせに隼人の方に行くとかムカつく。
ついでに明日隼人のことを殴ってやりたい。
殴るだけじゃ足りないか…。
新学期が始まって1日目
気分はマジで最悪。