私の二人の神様へ
「そろそろケーキが食べたくなっちゃった。今、切って来るね。榊田君のケーキはおいしいから楽しみ!」
そう言って、座布団から立ち上がろうとしたら手首を掴まれた。
「ケーキは後にしろ。甘えたいんだろ?」
そう言って、本を置き、ふわりと抱きしめてくれる。
「嫌じゃない?」
彼の髪にそっと触れながら小声で尋ねる、甘えたいけど鬱陶しい女だとは思われたくない。
せっかく綺麗に整えられた髪が少し乱れるだろうけど、こうして彼の髪に触れることができるのは私だけだと思うと、したくなる。
「大いに甘えてくれて構わない」
やっぱり優しい榊田君。
私には特に甘い。
みんなに言われずともわかる。
そんな特別扱いが嬉しい。
「大好き」
彼の頭を抱え込むように抱きしめ、一日に一回は言っているだろうお馴染みなセリフを言った。
毎日言っていても、いつも、いつも、心をこめている。
少しでも榊田君に伝わるように。
そしたら、お返しのように私の後ろ首を手で支え、キスをしてくれた。
いつもとは違うキスに一瞬身を引こうとするが、がっちり抱きしめられていて身動きができないし、すぐに心地良さに流された。
こうして部屋の中でのキスは初めてだ。
それに、深く長い口付けでも最初は啄ばむような軽い口付けから入るのに今日は最初から貪るような口付け。