私の二人の神様へ
立ち振る舞いがそれはそれは優雅で、その顔も凛々しく美しいし、スタイルも抜群。
ショートカットがとても格好良いし、胸元が開いた服だけど全然下品さがなく、むしろ清潔感が漂う出来る女。
とにかく、完璧過ぎる大人の女性。
欠点がないところが欠点みたいだ。
そんなお姉さんは、聖母のような清らかな笑みを浮かべ、その形の良い口からは何とも綺麗なハスキーボイス。
「はじめて会った気がしないな。俊の姉の榊田明美だ。以後、俊共々、よろしく頼む」
長い指を持った綺麗な手が差し出された。
自分の荒れた手で触れるのが申し訳なく一瞬躊躇したが、その手を握って握手した。
彼女として榊田君の身内にはじめて会った緊張と、格の違いを見せられ、簡単なあいさつさえドキマキした。
「は、はじめまして。水野小春と申します。榊田君にはいつも本当にお世話になっていまして、このたび、お付き合いしていただくことになりました。ご挨拶が遅れて申し訳ありません」
「水野。そのしゃちほこばった挨拶はなんなんだ?どう考えてもおかしいぞ。馬鹿に見える」
本当にデリカシーがない榊田君。
私もおかしいとは思ったけど、緊張してるんだから仕方ないでしょ!?
「そう思うなら、少しぐらいフォローしてくれても良いじゃない?意地悪」
彼の隣に座りながら、頬をふくらます。
「お兄ちゃん。そんなこと言ってると嫌われるよ。せっかく、お兄ちゃんのしつこさに根をあげて付き合ってくれたのに」
頬に手を付き、半眼の美玖ちゃん。
こんな姿が絵になるのだから、さすがは榊田君の妹。
険悪なムードになるところだったが、ここは二人のお姉さんである明美さんが笑顔で押し切った。