私の二人の神様へ
「いや。こぞって小春に夢中だから、どんな子かと思えば。なるほど、実に愛らしい。さすがだな、俊」
「当たり前だ」
何故だか、偉そうな榊田君。
いや、いつものことか。
「確かに、お前は節操なしだったが、顔とスタイルが一定基準を満たさないと付き合わなかったもんな。お前の彼女だ、確かに当然のことだったな」
にこやかに、一人納得して首を縦に振るお姉さん。
「……姉貴」
「……明美姉」
「いや?待てよ。お前は年上美女が専門だっただろ?こういう可愛い系は手をつけなかった。やっぱり、そういう意味では珍しい」
隣から、凍てつくほどの冷気が発せられた。
榊田君がとんでもないことを言う前に私は、幾分大きな声でお姉さんの話に加わった。
「へ、へぇ~!やっぱりモテると目が肥えるんですね!でも榊田君って女の子だけじゃなくて、男の子にも人気なんですよ。昔からなんですか?」
とりあえず、女性関係の話からはお姉さんの気分も害さずに逸らせたはずだ。
我ながら、素晴らしい!
……と、思ったが。
お姉さんのような人を私が手の内で転がせるはずもなかった。
「ああ、確かにそうだ!なんせ飽きると自分のお手つきを、男たちに割り振ってあげてたからな!」
「…………」
もう完敗だった。
私のような凡人に非凡人を制御できるわけがない。
撃沈した私はあっさり冷気に飲み込まれてしまった。
「くだらないことをべらべら話すから、てめぇみたいなのと会わせたくなかった。これで理由がわかっただろ?満足か?」
さっきの険悪なムードのほうがよっぽどマシだ。
榊田君が怒るとシャレにならない。