私の二人の神様へ
「だから、私が小春ちゃんを見ると赤くなるわけか。お兄ちゃんと重ねて。ようやく、納得がいった。でも何だか気に入らない」
「俊はその目で、高校時代に女を思いのままにしてきたんだもんな。なるほど、それが本命で活かされているわけか!」
「水野。お前はいつものことながらアホなやつだな。トマトも真っ青なほど赤いぞ」
会話が成り立たないことも、この三人の共通点。
榊田君に顔を覗き込まれ、これ以上熱くなりようがないはずなのに熱くなって、耐え切れず顔を手で覆い隠し、ベソをかいた。
そんな私に構わず、お姉さんは元気一杯だ。
「何と可愛いんだ!!何としてでも嫁に来てもらえ、俊!」
榊田君は身を乗り出すお姉さんを手で追い払う。
「小春。どうせお前の本当の姉になるんだ。今から、お姉さんと呼んで構わないぞ!」
キラキラと輝かしい目を向けられた。
この目は榊田君とは似てない。
「え?あ、ありがとうございます」
それでも、お姉さんの美貌と大人な雰囲気にあたふたしてしまう。
それに、やっぱり仁くんに似ている。
「さぁ!!ほら、呼んで構わないんだ。さぁ!!早く」
「姉貴。一人で妄想して突っ走るな。ウザい」
「小春ちゃんが困ってるよ。明美姉」
こうも、お姉さんと呼ぶように言われると、何だか照れてしまってなかなか言い出せない。
「私が姉になるのが嫌なのか?小春は?」
悲壮を示すように眉をよせるお姉さん。
「まさか!何だか、照れてしまって」
「照れずに、言うんだ!さぁ!」
私の胸に飛び込んで来いと言わんばかりに手を広げるお姉さん。
「お、お姉さん?」
若干、疑問系なのはご愛嬌で許して欲しい。
「そうだ!その響きだ。実に良い響きだ!!今日から私は小春の姉だ。何でも相談するんだぞ?良いな?」
そう言って席を立ち、私をキツく抱きしめた。
顔を胸に押しつけられて、やっぱりスタイルも抜群だなと酸欠になりながら思った。