私の二人の神様へ




夕食はお姉さんの家で私の手料理を披露することになった。


 美玖ちゃんと広君が私の手料理をえらく褒めてくれたらしくて、お姉さんも食べたいと言い出したのだ。


 こうも期待されると、何が何でもおいしいものを作らなくては。


 お姉さんの家は高級マンションだった。


 小夜ちゃんのマンションと同格。


 こんなマンションに住めること自体ができる女を表しているかのよう。


 多少散らかっていたのは、仕事の忙しさを表しているようでまたできる女っぽい。


 そんな風に贔屓目に見てしまうのは、仁くんにお姉さんが似ているからだろうか?


 それとも、榊田君のお姉さんだからだろうか?


 お姉さんは何でもできるように見えて、実は料理とか家事が苦手で、いつも散らかっているのだと、美玖ちゃんから聞いたことがある。


 そして、それがおいしいお店をたくさん知っている所以でもあると榊田君が言っていた。


 多少で済んでいるのは美玖ちゃんが毎週掃除に来ているから。


今年の春から東京の大学に通うことになったから、私とも頻繁に会うようになった。


 それで、今日のお姉さんとの対面も可能になったのだ。


 お姉さんの不精さに嫌気がさした美玖ちゃんは、近々、この部屋に移り住む予定らしい。


 明美さんの希望で煮物。


 美玖ちゃんの希望でグラタン。


 榊田君の希望で卵焼き。


 あとは、サラダでも出せば良いかと、夕食のメニューは決まった。











 榊田君が私の手伝いをしてくれている間、お姉さんと美玖ちゃんは部屋を掃除。


 美玖ちゃんは家事が好きなのか、はたまた得意なのか、テキパキと働き、お姉さんはそれを感心して見ていて、さほど動いていなかった。




< 116 / 208 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop