私の二人の神様へ
忘れさられた人
どうやら、榊田君の彼女として高評価をもらい一安心した。
それから、私の生活は少し変わった。
お互いの家を行き来することがなくなり、その代わりに良くでかけるようになった。
四年生だから授業は少なくて、榊田君は時間が空くたびに、どこに行きたいか聞き、私はやってみたいデートをその度に挙げた。
仁くんの家がもっぱらだったけど、二人で中華街に行ったりだとか、お祭りに行った。
広君たちと五人でも行ったけど、お祭りデートの時だけは浴衣。
わざわざお母さんに送ってもらったのだ。
残念ながら、榊田君からは何の反応もなかったけど、そのまま仁くんの家に行ったら、仁くんはそれはそれは褒めてくれた。
仁くんの家にいる間、ずっと私を見ているものだから、何とも照れてしまったけど、着て良かったと心から思った。
とにかく、一ヶ月でそこそこデートを重ねた。
デートができていたし、榊田君も今年は夏バテせず、いつもと変わりなかったから、お互いの家で夕食を取らないことなんかまったく気にかけもしなかった。
それに加え、手を榊田君から握ってくれるようになったのだ。
あのいざこざが起こる前までは、私が榊田君の手を取っていたのに、今は彼から手を握ってくれる。
もう最初に手を取ってもらえた時の、感動と言ったら。
榊田君の温もりに触れられて、何だか涙が出てきたくらいだ。
それを拒絶の涙と勘違いした榊田君が手を引こうとしたが、それを慌ててがっしり掴んだ。
以降、榊田君は私の手をするりと何気なく掴んでくれる。
つまりは、浮かれていて、この間のいざこざなんて本当の本当に私は忘れていたのだ。
あくまで私は。
私は本当にアホだった。