私の二人の神様へ
「こんなことで怒るやつとなんか別れろ」
「もう仁くん!冗談言わないでよ。怒って当たり前のことしたんだから。万が一にも、振られたりしたら!」
本気ではないにしろ榊田君は別れるとか言い出し兼ねない。
私の態度次第では言われる可能性もある。
「むしろ、あいつが振ってくれるとありがたい」
ぼそっと言う仁くんを、私は潤んだ瞳で睨みつけると、仁くんはしぶしぶと言った感じで付け加える。
「それはないから安心しろ。今日は遅いから明日の朝に連絡して謝れば許してくれるさ」
私の頭をいつものようにポンポンと叩いて安心させてくれる。
言い訳せずにひたすら謝り続ければ、振られことは回避できるだろう。
きっと、別れるとか言っても次の日には発言を撤回してくれるのはわかるが、それでも振られたくはない。
あたりまえだけど。
榊田君が私に特別甘いのはわかる。
だから、こんな私でも本気で別れるつもりはないだろう。
でも、やっぱり呆れられるのは確実。
好きな人に呆れられるのはすごく嫌なもの。
明日見るだろう榊田君の失望したような顔を思い浮かべると、やっぱり目が潤んでしまう。
仁くんの温かい手だけが私の救いだ。