私の二人の神様へ
素敵彼氏
次の日。
六時に目を覚ます。
睡眠時間は四時間。
寝ることが好きで朝が苦手な私からすればまさに奇跡。
というより、目が勝手に覚めてしまった。
さすがに連絡するのは早いから、気を紛らわすために家事をする。
全ての家事をあらかた終え、朝食を取って八時半。
榊田君は朝もしっかり起きられる人だからと、携帯を手にとる。
とりあえず、電話で会いたい旨を伝えて、直接謝る。
何度も頭の中で繰り返した。
電話越しの冷ややかな声に負けてはダメと自分を奮い立たたせ通話ボタンを押す。
呼び出し音がなるだけで、なかなか出ない。
怒って出なかった場合は、家に押しかけるつもり。
これも想定済み。
これは押しかけるしかと思った矢先。
留守電に切り替わる瀬戸際で、いつもより低い声で榊田君が出た。
『あっ、私、水野です。おはようございます』
不自然さ丸出しの私。
理想と現実のギャップだ。
『あ~水野か』
ん?
これは、寝てた。
明らかに寝起きの声。
『あ、あ、あの。もしかして寝てた?』
『広也たちと明け方まで飲んでたからな。何の用?』
私としたことが、寝ていたのに起こしたなんて。
いつでも間の悪い人間だ。
『えっと、今日会えないかな?』
『今、安住の家にいるから昼時で良いなら』
駅前の喫茶店で待ち合わせの約束をして電話を切る。
助かった。
安住君は榊田君と広君の学部の友達で何度か話したことがある。
黒澤君と四人で大層仲が良いのは端から見ていてもわかった。
彼らと過ごしていたのなら、私の連絡どうのなんて、さほど気にも止めてないだろう。
合格発表さえ見たら、一安心と彼らと遊んでいたのかも。
幾分、気楽に彼と会えそうだ。