私の二人の神様へ
「あ、あの。ごめんなさい。デート中に仁くんの話は無神経だったね。ごめんなさい」
「質問に答えろ。招待って、仁だけを家に招待するのかよ?」
「佳苗さんがいないから私が代わりに仁くんの夕食を作ろうと思って」
「それで?妻子持ちを家にあげるわけか?二人きりで?しかも、夜に?」
矢継ぎ早に問う、榊田君の口調は明らかに責める口調だった。
「佳苗さんに了承はもらってるわ。仁くんと過ごしてあげてって最初に言ったのは佳苗さんだし」
「佳苗の了承ね」
奥歯に物が挟まった言い方に、強気に私は言い返した。
「何が言いたいの?」
「俺は承諾した覚えはない」
「榊田君に了承を取らないとダメなの?相手は仁くんよ?」
「だからこそだろ。そもそも、彼氏以外の男を家にあげるってどういう神経してんだよ?仁にしたって、非常識の度を超えてる」
「仁くんは家族よ?」
私だけじゃなくて仁くんや佳苗さんを責める彼に、語調は強まる。
「家族?それをお前が言うか?仁をずっと家族としてではなくて男として見てたお前が?」
「今は違う。私にとって仁くんは大事な人。その人を招待して一緒に過ごして何が悪いの?」
木々が風に揺られている影が榊田君の険しい表情を色濃くさせた。
周りの女の子たちのはしゃぎ声も木々のざわめきも今の私には異空間のよう。