私の二人の神様へ
「水野。お前はいつも仁のことばかりだな」
え?
私は思わず顔上げた。
榊田君は別に怒る風でもなく、いつもと同じ表情で淡々としている。
「試験の時も、真っ先に仁で。今日も仁のための買い物。いつも、あいつが喜ぶことは何なのか懸命に考えてる」
「試験のことはごめんなさい。真っ先に榊田君に連絡するべきだった。今でも申し訳なく思って……」
私の言い訳がましいお詫びの言葉は遮られた。
「なぁ?お前は仁のことを考えるように、俺のことを一度でも同じくらい真剣に考えたことがあったか?」
それは、榊田君がずっと私に問いたかったことのように思えた。
何故だかわからないけど、そんな風に思った。
榊田君は一端、目を伏せて、すぐに鋭く私を見据える。
私は金縛りにあったかのように身体も動かなかったし、彼への言葉も見つからない。