私の二人の神様へ
「ないだろ?付き合ってからも仁ばかり。日々仁が何を考えて、何を思っているのかそればかりで、俺には気遣いの一つもない」
「それは違う!!私は榊田君のことも考えてる!」
そんなことはない。
頭というより反射的に口をついた。
だけど、彼はそんな私の言葉をちっとも信じてないようで。
当然かもしれない。
行動が伴っていないから。
私はいつも自分のことばかりで、榊田君の優しさに甘えてばかりで。
「さ、榊田君は、今の私との関係に満足してないってことだよね?私に不満を持ってる」
「俺がしつこく付きまとったせいで水野は付き合ったんだから、現状に満足するべきなんだろうな」
明らかに、嫌味。
普段老成している態度ばっかりなだけに、極端に子供っぽく見えてしまう。
これが仁くんとの違いだと思う。
「私は榊田君が好きで付き合ってるんです。はっきり言って。榊田君の思ってること。満足してないんでしょ?何が不満なの?」
「なら、言わせて貰う」
「どうぞ」
私は背筋を伸ばし榊田君を見据えると、榊田君はいつもの感情の読み取りにくい表情のまま口を開いた。
「俺は水野のことを抱きたい。お前の心の準備が整うまで待とうと思ったが限界だ。十分、待ったとも思ってる」
真面目くさった顔で、というか平然と良くそういうことを言えるなと、私は誰かに聞かれていないかきょろきょろと辺りを見回した。
幸い、席が一つ一つ離れていることもあって聞こえてはいなそうだ。
こっちを見る視線はあるけど、これは榊田君を観賞用として見ているだけだ。
私は赤い顔を隠すために俯いた。