私の二人の神様へ
「そ、そ、それは私、榊田君が付き合ったのが、は、はじめてで」
「知ってる。だから、待ってた。それなのに、お前はその気がないくせに俺を煽るようなマネばかりして」
「ご、ごめんなさい。私、そういうこと考えてなくて」
私は飲み物に手を伸ばした。
顔が熱い。
「別に無理強いするつもりはない。だが、仁との食事はやめろ。それだけは絶対に」
これは、要求を呑むしかないか。
ここまではっきりと不満を述べられたら。
私の家での二人きりのディナー計画はなくなった。
「わかった。なら、榊田君も一緒にどう?卵焼きたくさん作るよ?他のものも」
「お前な……。断る。俺は仁との食事をやめろ、って言ったんだ」
これもダメか。
「わかった。それならいつも通りに外食にする」
そう言った私にまたため息を吐き、首筋を掻いた。
「……水野。何度も言わせんな。仁とは会うな」
「どうして!?外なら良いでしょ!?ちゃんと連絡する」
「ダメだ。お前は俺の彼女だろ?なら、言うことを聞け。俺は嫌なんだ」
「何でよ!?今まで良かったじゃない!?外でなら他の男の子だって許してくれてるじゃない?」
「仁がダメなだけだ。他は構わない。そこまで束縛する気はない」
どうして?
どうして、仁くんと仲良くしてはいけないのだろうか?
私が仁くんを特別に思っていて良いと榊田君は言った。
それなのに、仁くんだけはどうしてダメなのだろう?
「……やだ」
私はぼそりと言うと、榊田君がさらに眉間に皺を寄せた。