私の二人の神様へ
「ノーコメント」
そっぽを向くと、二人ともつまらなそうに口をすぼめた。
「小春。冷たいじゃない?相談に乗ってあげようって言うのに」
「二人とも野次馬根性でしょ?」
バレたか、と舌を出す朔ちゃん。
理由が理由だけに何だか、話しにくい。
そもそも喧嘩の原因を話したら、さらに榊田君を怒らせる事態になりそうだし。
私はお皿をどかして、冷たいテーブルに頬をのせた。
「私の話を全然聞いてくれようともしない。こんなに長引くなんてな」
「あんた。だからって放置するのはやめなさいよ。榊田が哀れだから」
「え?」
「今までの榊田君の悲嘆の日々を思えば、当然よ」
悲嘆の日々?
私が首を傾げると、二人はわざとらしく泣き顔を作る。
でもその口元は愉快そうに歪んでいたし、その声色も楽しそうだ。
「あんたはあの偉そうな榊田に付き合ってくれ、って頭を下げさせたところか、頭を地面に押し付けさせたようなものよ」
朔ちゃんはげらげら豪快に笑い、小夜ちゃんはくすくす上品に笑った。
「土下座して求愛している榊田君を、思いっきり踏みつけ這い蹲らせて。周りがもうやめて!って言いたいくらいにね」
「榊田は踏みつけられながらも、小春の足に必死にしがみついて引き摺られ、また踏みつけられて、でもしがみつき」
「そして、ぼろ雑巾に成り果てながらも、諦めなかったから小春ちゃんと付き合えた」
二人は双子のように息ぴったりに話を完結させた。
いつ練習したのだろうかというほど、スラスラ澱みなく話すのだから恐れ入る。