私の二人の神様へ
大好き
その後、街を少しひやかしに歩いてから、地元の駅まで戻り、スーパーで食材を買い込む。
榊田君の好きなものは卵焼き。
広君が食べたいということで、ひじき煮と野菜の巾着。
安上がりでヘルシーな夕食で決まりだ。
榊田君はたくさん食べてくれるだろうか?
私が作ったものなんて食べたくないとか言わないだろうか?
今になって少し不安になる。
榊田君のアパートに着き、私はドアから見えないところに隠れた。
私と広君が来ることを榊田君は知らない。
広君はともかく、私を見たらドアを閉めてしまうのではないだろうか?
広君がインターホンを押した。
榊田君の声がして、鍵を開ける音がする。
ドアを開けた。
「今日、水野と出かけたんじゃないのか?どうした?」
「デートの最後は彼女の手料理が定番だろ?独り者のお前も特別に入れてやろうと思ってね」
そう言いながら、隠れている私の腕を引っ張り榊田君の目の前へ。
榊田君と目が合ったのは実に二週間ぶりのことだった。
榊田君はため息を吐いて広君を一睨みしたが、私ともども部屋の中へと入れてくれた。
彼の部屋に入るのは六十一日ぶり。
やっぱり、掃除が行き届いた部屋で彼のきちんとした性格を良く表している。
机の上には私の愛用のハンドクリームも置かれてあるし、私の昼寝用の枕であるイルカのクッションも置かれたままで、ほっとした。
何一つ変わっていない。