私の二人の神様へ
「そう。知っててくれて嬉しいわ。あなたもちょっとした有名人よ。水野さん」
本当に同じ人間なのに、この存在感の違いは何なのだろう。
仁くんと小さい頃からいたから榊田君に圧倒されることはなかったが、同性だと何だか違う。
榊田君の妹である美玖ちゃんも圧倒的な存在感はあったが、綺麗ながらも可愛らしい子だったし、私に笑顔を向けてくれたから、身構えることはなかった。
だけど、彼女は違う。
私を値踏みしているし、蔑んでいる。
何と返せば良いのかわからなくて曖昧に微笑んだ。
「俊とはゼミが一緒でね。仲良くさせてもらってるの」
完璧な作り笑顔はさすがはモデルさん。
しかし笑顔なのに、私は萎縮してしまう。
彼女の迫力に。
「榊田君と今度プレゼンやるっていう話は聞いています」
当たり障りのない言葉をぎこちない笑顔と共に彼女へ向ける。
榊田君からの情報ではなく、榊田君と同じ学部で彼の親友でもある広君からの情報だ。
『今年に限って、俊と一緒のゼミになれなかったなんて!紗希ちゃ~ん!!』
頭を抱えて叫んでいた。
榊田君と一緒のゼミは男女ともに人気があるのは一年の頃から当たり前のことだ。
「噂には聞いてたけど、やぼったくて俊には不釣合いね。自分でもわかるでしょ?」
彼女の心地良い歌うような声が私たちの体感温度を十度は下げた。
その私たちの反応を気にすることなく、形の良い唇をこれまた綺麗に弧を描いた。
「私ならお似合いだと思わない?だから俊のこと譲ってくれない?」
勝気な朔ちゃんが噛み付こうとするのを私が笑いながら遮る。