私の二人の神様へ
「用が済んだなら早く戻れ」
やっぱり、さっきと同じように手で追い払われる。
榊田君は優しいけど、こういうところはそっけない。
もう少し、別れを惜しんでくれても良いと思う。
私だけ、一緒にいたいと思っているのが悔しくて、つい可愛げないことを言ってしまう。
「言われなくても戻ります!明日は仁くんがたくさん甘えさせてくれるから、榊田君が冷たくても平気だもん!」
「フグみたいな顔で何言われてもな」
鼻で笑う榊田君を無視して、アパートの階段を駆け上がった。
本当に失礼でデリカシーのない人。
怒りに任せてドアを開けたけど、いつものくせで門を見下ろす。
すると、やっぱり榊田君がいた。
優しいけど、そっけないし、デリカシーがない榊田君。
だけど、私はそんな彼がやっぱり大好きなのだ。
だから、いつものように手を振ってから部屋に入る。
ドアを閉めると恥ずかしさから顔を手で覆い隠して、ひゃあ~と自然と口をついた。
恥ずかしいことをしたけど、榊田君にちゃんと気持ちを伝えられたし、抱きしめてくれた。
今日は、絶対良い夢が見られそうだ。
でも、やっぱりなかなか寝つけなさそう、こんなにも身体中が沸騰するほど熱いから。